今日は はじめて父のいない、父の85歳の誕生日。
先月父を亡くした。
10月から大きな病を得て、それでもあわてず騒がず、自分自身で選んだ方法で生涯を終えた。
父の思いを共有した家族は、本人を交えなんでも話し合い、父の希望に寄り添うように心がけたつもりだ。
老いてなお、好きなように過ごせてよかったんだと思う。
それでも親を亡くすという初めての経験をどんな風に感じるのだろうと、告知されたころから考えていた。
果たして、儀式を全部拒絶し献体をすることを強く望んだ父の亡骸を見送った時に、不謹慎だけれど、ちょっと晴々した清々しい不思議な感情が湧いた。
とても大事にしてもらって愛されてきた実感があるので、亡くなってもっと近くに感じる。
本当に長いこと親子でいたんだな。
この年になるまで、親がいたことが幸せなのだと思う。
私が二十歳になった時、「あ〜もう親が亡くなってもおかしくない歳になったんだ」と思ってから、何と30年以上になる。
十分に長い時間を過ごせたことがありがたいし、親孝行にもなった。
でも忘れない。
父のひざにすっぽりはまってご飯を食べたり、頬ずりされたひげがジョリジョリってなったこと。
毎冬、カニを食べるときは家族の全部に殻から外して、どんどん食べなさい!と配ってばかりだったこと。
迎えに来て!と電話したら、わけもきかず必ず車を出してくれたこと。
初孫のおたまが生まれたときも、孫より自分の娘の生まれたときの方がずっとかわいいと言ったこと。
母がお礼の言葉を書き、春待つ柄の便箋をおたまがデザインし、お世話になった方々に報告をして…。
心ばかりのお菓子を添えて、ぴったりの箱を作ってもらって発送し、父の希望するすべての予定は終了した。
誰の世話にもならん!お前の世話には絶対ならん!って頑張ってたけどなぁ。
まぁ、この程度ならええんとちゃう?